電子書籍の外側

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1,000億円市場規模の電子書籍市場は儲かっているのか?

■大きく売上を伸ばしたBookLive

7月2日付官報にBookLiveの決算公告がのっていました。

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決算の細かい中身の分析は、専門家の皆様にお任せするとして、今回注目したところは、売上と売上総利益のところです。

売上については、68億円となっており、月商5.6億円となかなかの数字です。電子書籍書店であるBookLive!での販売が月商5.6億円とかなりいい数字をたたき出していると錯覚しそうです。

BookLiveは以前にビットウェイという会社の事業を買収しており、その中にHandyComicというガラケー時代の電子書籍書店もBookLiveの中にあります。

スマホでアクセスを推奨するHandyComic

ガラケー時代のHandyComicは上位4社の中にあり、かなりの売上をあげていました。

このHandyComicの売上をBookLiveの売上から引くと電子書籍書店のBookLive!の売上が見えてきます。

また、粗利率が29.95%ということで大体30%でした。 

ちなみに去年の決算はこちら
BookLive(ブックライブ)売上12億円、純損失40億円の赤字。赤字だと思っていたけど、ここまでとは。。 | サイプロ~とあるサイトプロデューサーのブログ~

 

■大きく売上を伸ばした出版デジタル機構の決算

6月25日付け官報に出版デジタル機構の決算公告が載っています。

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こちらも中身については専門家の方々にお任せして、こちらも粗利率を見てみましょう。

5.5%

政府系ファンドが出資している出版デジタル機構ですが、粗利率5.5%というところで、大丈夫なのでしょうか?

 

■取次の流通量を見てみる

出版デジタル機構の取扱量が49億円で、ちょっと取次とずれるところがあるメディアドゥの売上のうち電子書籍セグメントを見ると2014年2月期決算で46億円(pdf)ということで、残る大手取次のMBJの決算が入手出来ていないのでざっくり40億円位と推測して、取次を流れる流量として135億円位となっています。

思ったより取次を通る流量が少ないですし、Kindle等直接取引をしている出版社が多いのかな?と思います。

 

電子書籍市場は儲かっているのか?

1000億円を突破したという、景気のいい話は聞こえてきますが、BookLiveや出版デジタル機構の決算を見る限り、電子書籍市場を支える企業2社が合わせて40億円近い営業赤字を出している事を考えると、色々考えてしまいます。

また、LINEマンガが700万ダウンロードと言う話も出てきました。
【LINE マンガ】累計ダウンロード数700万件を突破

1年3ヶ月で700万ダウンロードということで、1冊当たり400円(マンガなので)で計算すると28億円になります。

LINEマンガを書店と見立てた時、1年3ヶ月で28億なので、月商2億円ほど、しかも、LINEマンガを使ったことが有る方はわかると思いますが、無料DLできるモノもあります。

また、LINEマンガはコインを買う方式なので、OSプラットフォーマーに決済代行で30%取られます。

LINEマンガは無料DLもあるので、実際の売上は28億円も無いと想定できますし、利益率もプラットフォーマーの決済代行に取られて、かなり厳しいと思います。しかし、LINE全体で事業を考えるならあまり問題が無いのかもしれません。

これらを見聞きすると1000億円の規模といってもあまり儲ってなさそうです。

しかし、Kindleは売れているという話は電子書籍業界関係者の皆様、版元の皆様からよく聞きます。そして、大手電子書店の2倍3倍という規模で売れていると聞きます。

 Kindleで売れているのはコミックで、文字モノはコミックの1/10という話を版元や電子書籍業界関係者から聞きます。

そういえば、今年3月にインフォコムのリリースで、めちゃコミックを含む電子書籍事業100億円を突破したというリリースが有りました。
そして、8月5日に月商10億円を超えたというリリースも出てきました。

Kindleとめちゃコミックの話を見聞きするとコミックは儲ってそうな感じがします。

 

電子書籍市場は儲かっているのか?

誰に問いかけていいのかわかりませんが、儲かっているという方がいましたら、ご連絡ください。